編み物は、最近では、『ニットセラピー』などとも言われており、心を落ち着けたり、身体の調子を整えたりといった意外な効果があるんだとか。
でも、子供がいるとどうしても編み物が進まない。心を落ち着ける以前に編み物ができない..。
子供との時間はしっかりと確保したいと思う一方で、自分の趣味の時間も大事にしたい。多くの方がお悩みを抱えていると思います。
piyoさんは、2歳の男の子と、1歳の女の子の育児を自宅でしながら、編み物YouTuberの活動もされています。
2人のお子さんの育児をしながら、どのようにご自身の編み物時間を確保されているのか。piyoさんにお話をうかがいました。
お子さんのお昼寝時間は、ママの編み物タイム
piyoさんのお子さんは2人ともまだ小さく、なかなか手が離せない。しかし、そんな中でも、工夫して上手く編み時間を確保されているのだとか。
piyoさん:
「平日は子どもたちのお昼寝時間と、寝かしつけをした後が編み時間です。
午前中に家事を済ませて、支援センターに行ったり、お外遊びをします。子どもの昼寝中にiPadで好きな動画を見ながら、ソファの上で編むのが癒しの時間です。
子どもと一緒に寝落ちしてしまうこともありますが、『編み物したい!』と思うと、ぱっと目が覚めます(笑)。
休日は夫が子どもを見てくれている間、2階の空き部屋(将来の子ども部屋)でひとりゆっくり編ませてもらっています。
1日1〜2時間編むことで心がすっきりするので、なるべくその時間は確保できるようにしています。」
苦しいとき、支えになったのが『編み物時間』
編み物を始めたのは、実はお子さんの妊娠がきっかけ。
元々は手芸をしていなかったそうですが、妊娠中に産まれてくる赤ちゃんのために帽子などを作っていました。
しかし、第一子は死産してしまい、産後は赤ちゃんを見るのが辛くて、外出もできずテレビも見れず、辛い日々を過ごしていたそうです。
piyoさん:
「『悲しみを乗り越えるには時間薬しかない。』といろんな人に言われましたが、なかなか家の中で1人では時間も経たなくて。そこで、なんとか家でできる趣味を見つけようと思い、編み物にたどり着きました。
編んでいる時間は穏やかで、あっという間に時間が経ち、自分のメンタルが安定していくのを感じました。
時間はかかりましたが、それから心も身体も回復して、2人の子どもを授かることができました。でも妊娠期間中は産まれてくるまでずーっと不安で。入院期間や自宅安静期間も長く、また出産予定日をただただ待つ日々でした。
そのとき私を支えてくれたのがユールニッティングと[hus:]さんです。」
「初心者でも可愛いものが編めて、初めて見るコーン巻きの毛糸が本当に可愛くて。京都の実店舗もオープン日にお邪魔しました。妊娠中だったので、たくさんの毛糸を買って、毛糸たちと一緒に里帰りしました(笑)。
いつも赤ちゃん動いてるかな、胎動あったかな?とばかり考えて不安でしたが、編み物をしてる時だけは何も考えず、とても癒されながら過ごすことができました。」
「育児が始まってからは、また別の大変さがありました。日中は赤ちゃんと家の中でずっと2人きりで、社会から取り残されている孤独感がありました。
でも、編み物を始めたことで、インスタでたくさんの編み友達ができて、「⚪︎⚪︎君のお母さん」としてではなく、1人の人間として社会と関わることができるのが、とても嬉しかったです。
大人になって、趣味が同じ新しい友達ができることってなかなかないと思うので、本当に嬉しくてありがたいです。子どもが幼稚園に入ったら編み友さんに会ったり、編み会に参加するのが今の夢です(笑)」
編み物時間は癒しの時間。お気に入りのスペースでゆっくりと
お子さんのお昼寝時間こそ、piyoさんの編み物時間です。
休日と平日とでは別々の場所で編むことが多く、どちらも心を落ち着ける『居場所』となっているとのこと。
piyoさん:
「1番落ち着く2階の空き部屋。将来子ども部屋になる予定です。休日はこの部屋のベッドの上でひとりで編んでいます。」
「いつも編んでいる場所はリビングのソファです。端っこにipadを置いて、寝ている子どもたちを起こさないようにイヤホンをつけて好きな動画を見ながら編んでいます。
クッションカバーやブランケットは手編みのもの。最近編んだusagigoyaさんの巾着も、プロジェクトバッグとして使っています。暮らしに馴染む手編みのものに囲まれて幸せいっぱい。」
暮らしの中になじむ、編み物作品
家のさまざまなスペースにある編み物作品たち。
小物作品も、ちょっと大きめの作品も。日常の中にとけこんでいる作品たちがpiyoさんの元気の源になるそうです。
piyoさん:
「リビングの出窓のインテリアコーナー。自分で編んだドイリーを気分によって入れ替えながら楽しんでいます。
手前と奥に置いてあるお花も、友達に教えてもらいながら作ったハンドメイド作品。とってもお気に入りのコーナーです。」
「父にリクエストして作ってもらったヤーンスタンド。里帰り中に無理を言って作ってもらったお手製で、スタンドをくり抜いて『ベアリング』というくるくる回る金具を入れてもらっているので、とても滑りが良いです!
ジャストフィットなインテリアマットもお手製です。」
「どんどん増えていくコースターやインテリアマットたち(笑)。病院の待ち時間など、外でもさくっと編めるのでついつい増えてしまいます。
友達を家に呼んだ時は、わくわくしながらどのマットを出そうか選びます。友達は、リビングのクッションカバーやインテリアマットを見て、『え!これも手編み!?』ととても褒めてくれて嬉しいです。」
「最近はまっているのはショールを編むこと。この春だけで3枚編みました。いろんな形があって自由なので、無心で編むことができてとても楽しいです。
お手本と多少ゲージが違っても、問題なく羽織ることができるのもズボラな私に嬉しいポイントです。」
「いま持っている編針セットたちです。毛糸も好きですが、編み物道具も大好きで、新作が出るたびチェックしています。
どの針も魅力的で、糸によって分けて使っています。まだ欲しいセットがあるので、これからも増え続ける予定です。普段はテレビ台の下に収納して、いつでも手に取れるようにしています。」
子供が小さいからこそ渡せる編み物のプレゼント
妊娠中は不安がいっぱいで、あまり子供用の物を編めなかったというpiyoさん。
元気なお子さんが生まれて、これからはたくさん編んでいきたいと語っています。
piyoさん:
「子どもたちのために編んだmacaroniさんのおしりクマさんパンツです。起きてる時間は大変ですが、寝ている姿を見るとほっこり癒されます。
妊娠中は不安がいっぱいであまり子どもの物を編めませんでしたが、これからはたくさん編んでいこうと思います。」
「妊娠中に唯一編んだあみぐるみラトル。娘のために編みましたが、当時1歳の息子がはまり、よくおもちゃにされていました。
うちに遊びに来る小さい子たちにも人気なので、出産祝いによく編みます。あみぐるみはこの作品が初めてでしたが、編む部分が少なく、すぐに編めて何よりとっても可愛いので編んで良かったなと思います。」
「子どもたちが触ったり食べたりしてしまうので、憧れの飾る毛糸収納は出来ておらず、基本的に押し入れに収納しています。
この収納ケースは縦にどんどん重ねていけるので、在庫が増えても安心(笑)。子どもたちが成長したら、本棚やリビングに飾る収納をするのが夢です。」
編み物は、『頭を空っぽにできる癒しの時間』
piyoさんは編み物に出会ったことで、毎日癒されて、悲しい日々や孤独な時間を乗り越えることができたそうです。
これからは、自分で楽しむだけではなく、編み物を広められるような活動をしていけたらなあと語られています。
piyoさん:
「日中はずっと子どもから話しかけられていて、頭の中も『次はあれして、これして…』とばたばた状態なんですが、ひとりで編み物をする静かな時間は頭の中をリフレッシュできる大事な時間です。
また、去年の7月から始めたYouTubeも私の楽しみのひとつです。実はこの活動、[hus:]さんに刺激を受けて始めたものなんです。
実店舗オープンから1年経ったとき『[hus:]さんは1年でこんなに大きくなってる。私は家の中で何も変わってない。育児もいつ落ち着くかわからない。今できることから始めよう。私も1年後変わっていたい。』と思って、始めました(笑)。
動画編集も何もかも初めてでしたが、登録も1,000人越えて、たくさんの方からpiyoちゃんと呼んでもらえて、今回の記事の話もお声をかけていただけて、改めて始めて良かったなと思います。」
いま編んでいるのは『半袖サマーニット』
piyoさん:
「編みかけはたくさんありますが、もうすぐ完成しそうなのが、子ども用の半袖サマーニットです。
[hus:]さん初のオリジナル玉巻毛糸ということで、私も初めてオリジナルでパターンを考えて編んでみようと思い、試行錯誤しながら進めているところです。
さらっと柔らかいコットンの糸で、糸割れしないのでとってもさくさく編めて楽しいです。優しくて柔らかい色味なのでベビーに合うかなーと妄想しています。
あとはサイズが合うよう祈るのみです(笑)。また完成したらYouTubeやInstagramでお披露目するので見守っていただけたら嬉しいです。
「夏に向けて、sawadaittoさんのこねりを購入しました。julknittingさんのオールドクラシックカーディガンを編みたくて、色をとっても悩んで、毎日インターネットで毛糸を探す日々でした。
最終的に、最近購入したオレンジ色のワンピースに合わせたい!と思い、いろんなサイトを巡って行き着いたのがこねりでした。リネン混のコットン糸なので夏らしく、色も理想のものがあったので、これから編むのが楽しみです。」
(おわり)