ニッターさんの暮らし「編みもの作家さん -macaroniさん(前編)」

近年、編み物をお仕事にされる方が増えています。

以前は、編み物作品を編んで、物販としての販売がほとんどでしたが、今では「代行編み」や「SNSでの発信」などさまざま。

私も一度だけ物販を経験したことがありましたが、自分が心を込めて編んだ作品を『欲しい』と思ってくれる人がいるのは嬉しいことです。

今回は、かぎ針編みの小物とあみぐるみをメインに編み物作家として活動されているmacaroni(マカロニ)さんにお話を聞かせてもらいました。前後編でお届けします。

macaroniさんは、2015年から作品販売を始め、2020年にYouTubeチャンネル「macaroniのあみもの」開設。現在は2歳の息子を育てながら活動されています。

macaroniさんは、最初に編み物にハマった時はあみぐるばかりだったとのこと。

そこからあみぐるみの販売まで始めており、今でもあみぐるみを編むことが多いようです。

macaroniさん:

「やっぱり、あみぐるみ作りは大好きでよく編みます。

あとは、巾着とか帽子とかマフラーとか簡単に編める小物類もよく編みますし、子どもができてからはベビーキッズのものも編み始めました。

逆に大物のセーターとかは今までで3つしか編んだことないんですよ。

今は作家活動のための作品作りがメインで、なかなか自分のための趣味の編み物はできてないのですが、以前に結婚式のウェルカムドールとか出産に合わせたベビードレスとか、大きなライフイベントに合わせたものが多くて思い出深いです。

ちなみに、棒針はずっと初心者です(笑)。」 

 

作家になりたてのころは、作品販売がメインでした

作家活動を始めたのは2015年。そこから「macaroni」が始まりました。

始めたきっかけは、好きなことを仕事にしたかったから。

やるからには売れるぞ!という意気込みで、当時ブームが始まっていたハンドメイド作家界隈について研究して、ブランドを立ち上げたとのこと。

macaroniさん:

「数年間ハマりにハマって何十体もあみぐるみを編んでいたので、あみぐるみをメインに販売するブランドにしようと決めていました。

でも調べてみると、あみぐるみ作家さんはたくさんいるし、どうやったら自分のことを認知してもらってファンになってもらえるだろうか…。

そう考えて、生み出したのが、あみぐるみのキャラクター「くまぴろ」です。」

▲作家活動最初期のくまぴろたち

「なるべく、『くまぴろの人』と覚えてもらいやすいように、くまぴろのキーホルダーやお顔の手編みポーチなど、くまぴろグッズの販売からスタートしました。

くまぴろのデザインは日々バージョンアップさせていきつつも、『ふわふわの体と、刺しゅうのおめめ、優しい色合いの世界観』という軸は揺らがずに、活動を続けていきました。

ブランドコンセプトは『優しく、愛らしく、暮らしがきらめくあみぐるみ』。

作品からそんな雰囲気を感じ取ってもらえるように、意識をしていました。」

▲初めて出店したイベント2015年12月のクリエーターズマーケットのブース

「その中でうさぎの「うさぽん」が誕生したり、くまぴろのカップケーキ、アイスクリーム、マカロンといったスイーツモチーフくまぴろが生まれました。

アイスクリームのくまぴろ、うさぽんはのちに[hus:]さんでキット化していただく『どうぶつアイスのあみぐるみラトル』の原型にもなったものです。」

 

作家特有の悩みを持った5年間

あみぐるみや手編み雑貨を、イベントやネットで販売していたmacaroniさんですが、実は順風満帆ではありませんでした。

『全く売れないわけじゃないけど、これを仕事としてやっていくのは無理だな』。そんな状態で悩んでいたこともあるそうです。

macaroniさん:

「販売数の問題もあるし、そもそも売れれば売れるほど苦しくなる価格設定になっていて。

決して安売りしていたわけじゃないのだけれど、どうしても編み物って手間暇がかかるので…。

かといって、自分には『あみぐるみ1つに何千何万円も出しても良い!』と思ってもらえるような作品作りは出来なくて。

およそ5年間、くまぴろメインのあみぐるみ作家として駆け抜けて来ましたが、コロナ禍になってイベント中止が相次いだこと、その時期に妊娠したこともきっかけで、作品の販売は一旦ペースを落とすことにしました。

ただ、ありがたいことに今も「くまぴろのファンです!」といってくださる方がいて。

作家人生を共に歩んできたパートナーでもあるくまぴろなので、時々は販売の機会を作っていくつもりです。」

 

2020年に始めたYouTube。そしていまのデザイナー活動

2020年になり販売のペースを落として、前々からやろうと思っていたYouTubeを始めたmacaroniさん。

『オリジナル作品も編み図を見たら編めちゃう人ってこの世にたくさんいて、自分の中だけで完結させるの勿体無いかも。』

そんな思いから、販売用ではなく、可愛いものは編んでもらおう!と、YouTubeチャンネル「macaroniのあみもの」を開設しました。

macaroniさん:

「もちろん最初は撮影も編集もめちゃくちゃ時間かかって、コスパ悪!!なんて思っていたのですが、続けていくごとに見てくれる方も増えて、楽しく続けられています。

編み方動画を始めたからこそ[hus:]さんから声かけてもらえたり、書籍のお話もいただけたりと、世界が広がって編み物デザイナーとして活動できるようになりました。」

▲最初の動画はくまぴろを紹介するものでした
▲初期にYouTubeでバズった(?)三つ編みヘアバンド

「YouTubeやキットに使う作品も初心の通り『macaroni』のことを認知してもらってファンになってもらうことを大切にしています。

ただ、可愛らしくて甘めのデザインなんだけど、ファンシーになりすぎないように、誰が見ても可愛いと思えるように考えています。

(販売作品の方は私だからこそ作れる世界というか、かなり尖らせた作風を意識していました。)

これまでは、『優しく、愛らしく、暮らしがきらめくあみぐるみ。』というコンセプトでやってきました。しかし、今はあみぐるみ以外も編むので、シンプルに『優しく、愛らしく。』という形にして、そんな作品作りをしています。」

▲YouTubeで編み方を公開している「くまさんハンドウォーマー」
▲同じく「サイドフリルのぺたんこポーチ」

「2022年に子どもができてからは、ベビーキッズ用のアイテムも編むようになったのですが、私の作風と相性がいいようでご好評の作品がたくさんあります。

実は子どもができる前からベビーアイテム可愛いの作れそうだな…と思っていたのですが、実際子どもがいないと何が必要でどうすると便利なのかがわからなくて、手が出せずにいたんです(笑)。」

▲YouTubeで編み方を公開している「しましまなみなみつけ襟風スタイ」
▲同じく「ベビー・キッズの小人帽子」

「この年に[hus:]さんにキット化していただいたのもベビー向けのラトルのあみぐるみ。

2024年現在、作家活動のメインで作っていこうと思っているのは『あみぐるみとベビーキッズアイテム』。

[hus:]さんを通じて私のことを知ってくださった方も多くいて、私の今の活動や今後進む道を作っていくのにもすごく助けていただいているなと感じます。」

▲初キットの「どうぶつアイスのあみぐるみラトル」

 

最近購入したのは、itoitoさんの3種の毛糸

そんなmacaroniさんは、最近はあまり毛糸を買わないようにしているのだという。

最後に毛糸を買ったのは、2月のニットの日に合わせて開催されたセールで、itoitoさんの毛糸を購入したそうです。

macaroniさん:

「ニットの日、いろんな毛糸屋さんでセールやクーポンが出ており、日頃毛糸ダイエットに励む私もお得感に負けてしまいました。『どこかのお店で何か買おう!』と色々見比べて、その中で今回初めてitoitoさんの毛糸を選びました。

itoitoさんはポップでファンシーな雰囲気もあるオシャレな毛糸屋さんです。ずっと気になっていたのでニットの日はいいきっかけになりました。

色々ある中から3種類の糸とキットを購入。

mistiというアルパカ混のほわほわの毛糸であみぐるみ編んでみたいなーと思い、さっそくうさぎを編みました!

顔はまだなので仕上げるのが楽しみです。」

「skogfossは不織布を平べったく伸ばしたような糸。全然何を編むか考えてなくてどうしようか悩み中です。

みかんのネットみたいなのに入っていて、これもまた可愛いですよね!

私の大好きなパステルカラーを3色セレクトしましたが、3色使いのものを編もうと思うと色が喧嘩してしまう可能性があり…。

間に白とかグレーを入れると馴染みやすいから、そういう色も買っとけばよかったなと後悔しています。

この『白も買っておけばよかった』と毛糸を買うたび思うのに、いざカートに入れる時になると好みの色ばっかり選んでしまって思い出せないの、あるあるです(笑)。

「もう1つCASA MILAⅡという糸は棒針編みのニット帽のキットを買いました。

編み図をみましたが、今の私には編めそうもなかったので今後の目標にします。」

 

いま編んでいるのは、[hus:]のブランケット

macaroniさん:

「[hus:]さんのSoftでおくるみ的なブランケットを編んでいます。

オリジナルパターンで、いろんな模様のスワッチを繋げておもちゃ箱みたいなイメージにできたらと思ってます。

Softは柔らかくて優しくて、色合いも本当に好みだし『macaroniっぽい』と言っていただけるので、大作になりそうなんですが頑張ってコツコツ編んでます。」

▲アイロン前のフニャッとした編み地ですが、この感じも好きです。

「Softはふわふわで柔らかくて、1本取りで編むと繊細で軽い感じになりますね。

模様も綺麗に出て色合いも相まってすごく可愛い気がしてます。

春夏にサッとかけられるブランケットにはもってこいだし、お昼寝する子どもの下に敷いたらお昼寝写真も可愛く撮れる気がしてます…!

来月中に仕上げることを目標に楽しく進めています。」

いろいろな苦悩を経て、いまに落ち着いたmacaroniさん。

作家さんとしての活動は嬉しいこともあれば、大変なこともある。macaroniさんのあみぐるみの中には、いろんな感情が詰まっていたのですね。

続く後編では、macaroniさんがこれまで編んできた、かわいい手編み作品を見させていただきます。かわいい作品に囲まれた独特の世界観を堪能させていただきましょう♩